遊びがわたしの軸になっていく(第1回)- きりかぶのめ

「自分のやりたいことを遊ぶキャンプ」
これはみんなの学校のフリーキャンプというスタイルです。
今年の夏も色んな心に残るシーンばかり。ひたすらに一日中どろんこをする。虫をたくさん捕まえる。工作で木の人形や棚をつくる。料理、野菜取り、鬼ごっこ、初めてするたき火、無人島での飛び込み、魚釣り。もちろんやらない選択も保障する。遊び疲れて休みたい子も。
今年の夏は、127名の子どもたちがみんなの学校のキャンプで様々な体験をしました。どれもこれも目を輝かせて体験をする。たくさんの健やかなエネルギーが渦巻くキャンプばかりでした。一人ひとりと決して同じでない体験だと断言できます。

 その中でもとても印象に残ったシーン。
アラタくんの穴掘り今日は何したい?元気よく「穴掘り!」と彼はキャンプに参加するたび彼は穴掘りをする。
回を重ねることにスコップでの穴掘りの技術や、どのこの土が掘りやすいのか、竹や水を使いこなし水路の作るなど、大人からは想像の付かない発想をしてもくもくと日が暮れるまでずーっと穴を掘る。
穴が深くなると同時に彼の目もより輝いていく、自然と周りには、仲間たちが自然とできていった。
一見するとただの穴掘りだが、ひとりひとりに役目が生まれ、もくもくと穴掘りする集団に、自然と通りがかりのギャラリーも生まれる。
そこに競争や奪い合いはなく、ひとつの穴を掘ることでつながり、仲間ができ、ルールやしがらみを超えてひとりひとりがおさまるべき居場所におさまり、皆好きなように自分を満たしていた。

 子どもたちは、とても自分の欲求や遊びに素直です。
水たまりがあれば入り、砂があれば穴を掘り、たき火があればなんだなんだ、と近づいてくる。
常に心で自分の感じていることをキャッチできているからです。
だから、自分の好きなことには敏感で、嫌なこと嫌いなことには素直に伝える感性があります。
しかし、それは大人になるにつれてより鈍感になっていきます。
ミーティングで「なにかやりたいことはないか?」と聞くと、空気を読んでやりたくもないことを答える。
他人にあわせる。わからないと答えるのがダメになっている。
これじゃせっかくの遊びも盛りあがりません。ここには、日々研修にて僕含め研鑽しているところです。

 この感性とも言える自分を知っているチカラはとても大事です。
例えば、大人になったときに自分のやりたい仕事をみつける。好きなパートナーをみつける。今日の献立を考える。
「やらなければ」で過労死や自殺をするまで仕事に固執しない。親や他人や社会に合わせた人生ではなく、自分で人生を設計する、つまり、自分を生きる上でとても大事なチカラです。
僕は自分を知っていることを「自分が一番の居場所になる」と名付けている。最強の生き方だ。

 このチカラを育むには何が大事なのか。僕は遊びこむ体験こそが重要だと考える。
それは、スポーツやルールや規律で子どもを縛る場ではなく、自然発生的な遊びの場で、話し合い民主的に生まれた決まりや約束事で自立された場であることが大事です。
だからこのアラタくんの穴掘りにはとても価値があるのです。自分の感性が確立していると、自分の存在に自信を持ち他人との境界線をしっかりともてます。
他者に巻き込まれずに自分の進む道をみつけることができます。
その道は決してどうなるかはわかりませんが、必ず豊かなものとなるでしょう。

それぞれであって、それぞれでいいのだ。そこを応援したい。