子育てと大根、そして不安の話

夏の暑さがいつまで続くのか、暦の上ではすっかり秋なのに30度を超える9月。今年は大豊作を願い、8月から土づくりをしてきた 大根畑 だが、植えてから ダイコンハムシ と シンクイムシ にどんどん食べられていく。
「あんなに準備したのに、どうして!?」焦り今年の大根がなかったらどうしようと不安モヤモヤが押し寄せてくる私の気持ち。あれこれ調べても「農薬を使うべき」「自然な方法で対処すべき」「この道具を使えば完璧」……。どれも正しそうに見えるものばかりで、私の心は情報の海に溺れてしまいます。あれこれと選択肢がある一方で、目の前の大根の現状を直視できなくなる私。
木酢液 や コーヒーかす などあれこれ試してみるものの、日々食べられていく大根の葉、知識やインターネットの「ああしたら、こうすれば、これが原因」の記事に踊らされていたのです。
その時、ふと思いました。「目の前の大根は今も食べられている。考えすぎているうちに、時間だけが過ぎてしまっている」と。そこで、まずは大根を守るためにできる簡単なこと、まずは現実に起きている虫を手作業で除去していく。ネットをかけて虫から保護すること。時間も手間もかかる行動でしたが、実際にやってみると少し心が軽くなりました。
この出来事は、子育てや教育に通じる部分があります。現代の私たち大人は、不安や疑問を感じると、ついついインターネットや本に頼りたくなります。「これが正しい育て方です」「これをしないと失敗します」「これが原因です」といったアドバイスや他人の経験談を求め、何が正解なのかを探し続けます。しかし、情報があまりにも多いと、何を信じていいのかわからなくなり、逆に不安が増してしまうこともあります。私もまた、知識に振り回されて大根の今を見失いそうでした。どんなに備えて予防しても、コントロールできない自然を相手にしているので天候や様々な要因は予測できないものです。
また、周囲の人々も忙しい生活に追われ、子どもを見ていない現状があります。子どもたちが今、何を感じ、何を考えているのかに目を向けず、育児に関する情報や方法論ばかりに頼っているのです。その結果、私たち大人は子どもたちの今に寄り添うことを忘れてしまいがちです。「もっとこうした方がいい」「あれをやらなければ」といった思いが、子どもを過剰に守ったり、逆に期待を押し付けたりする原因になってしまいます。私たちが不安にとらわれることで、結果的に子どもを振り回してしまうのです。
重要なのは、私たちがどれだけ情報を持っているかではなく、今、目の前にいる子どもとどう向き合うかです。不安を感じるのは当然ですが、その不安が行動を止めてしまう前に、まずは「今できること」に集中することが大切だと思います。大根にネットをかけたように、目の前の子どもに何が必要かを見極め、できることから始めてみるのです。
不安は未来のことを心配する感情です。未来を完全に予測することはできませんし、どんなに情報を集めてもすべての答えがそこにあるわけではありません。それよりも、今この瞬間に子どもとしっかり向き合い、少しずつ一緒に成長していくことが、子どもにとって最善の道を開くのではないでしょうか。
大根と子育ての話